
記事型のLPに205,425人が到達しました。そこから購入ページまで進んだのは229人です。
0.111%です。
ある健康食品ECの実測値です。18日間の集計で、記事LPは1本ではなく複数を合算しています。
結論を先に書きます
離脱の大半は、1画面目で起きています。
| 段階 | 到達 | 離脱率 |
|---|---|---|
| 記事LPに到達 | 205,425 | ─ |
| 1画面目を越えた | 約7,200 | 96.5%が離脱 |
| 2画面目を越えた | 約3,100 | さらに2.0pt |
| オファーまで到達 | 約740 | ─ |
| 購入ページへ | 229 | ─ |
96.5%が、最初の1画面で帰っています。
記事の中身を直す前に、ここを見てください。2画面目以降をいくら改善しても、届く人が3.5%しかいません。
分母を疑ってください
この数字をそのまま受け取る前に、確認すべきことがあります。205,425人は、本当に人ですか。
同じ事業者のデータを分解したところ、48.2%に「先読み」を示すパラメータが付いていました。 ブラウザやアプリが、ユーザーが開く前にページを取得している状態です。
先読みを全部除いた推計では、こうなります。
| 先読み込み | 先読みを除くと | |
|---|---|---|
| 記事LP到達 | 205,425 | 106,781 |
| 1画面目の離脱率 | 96.5% | 93.3% |
| 購入ページへの遷移率 | 0.111% | 0.214% |
それでも93.3%が1画面目で帰っています。 分母を半分にしても、結論は変わりません。
ただしこれは推計です。 先読みが全部「1画面目離脱」に含まれると仮定した計算で、実測ではありません。
不正クリックでは説明できません
「無効なクリックが多いのでは」と考えたくなります。測りました。
同じ事業者で不正検知の仕組みを通した結果、疑わしいものとボットを合わせて3.5%でした。
99.89%の消失に対して3.5%です。桁が2つ違います。
不正クリックを全部止めても、この数字はほとんど動きません。原因は別のところにあります。
では、何が起きているのか
内訳を整理すると、こうなります。
| 原因 | 割合 | 測れるか |
|---|---|---|
| 先読み | 48.2% | 測れる |
| ボット・不正クリック | 3.5% | 測れる |
| 誤タップ | ? | 測れていない |
| 見たが興味がなかった | ? | 測れていない |
残りの44.9%の中身が分かりません。
そして、この2つを分けるのが難しい理由があります。どちらも「人が来て、すぐ帰った」という同じ形に見えるからです。
誤タップと「興味なし」を分けるには
分けるのに必要なのは、滞在秒数です。
誤タップの形 滞在1秒未満 + スクロール0
興味がなかった形 数秒滞在して、少しスクロールして、離脱
この2つを分けるのに要るのは、滞在秒数ひとつです。 タップの座標も、要素ごとの滞在時間も要りません。
なぜ分ける必要があるかというと、打つ手がまったく違うからです。
- 誤タップが多い → 配信面の問題。 広告が表示される場所を変える
- 興味がなかった → 訴求の問題。 広告と記事の内容が合っていない
混ざったままだと、どちらに手を打てばいいか決まりません。
ヒートマップを先に入れないでください
離脱の話になると、ヒートマップの導入が候補に挙がります。順番が逆になることがあります。
96.5%が1画面目で消える状態でヒートマップを見ると、真っ赤な1画面目しか映りません。 絵としては正しいのですが、読める情報がありません。
除外してから描かないと意味がありません。 そして除外は「見て決める」ものではなく、毎回同じルールで機械的に引くものです。
だからヒートマップより先に、除外のルールが要ります。 そのルールを引くのに必要なのが、上に書いた滞在秒数です。
測るのに何が要るか
必要なのは、記事LPに1本のタグを置くことだけです。拾うのは3つで足ります。
・実際に画面に見えていた累計ミリ秒
・最初のスクロールまでのミリ秒(無ければ空)
・最大到達px(絶対値)
このとき、判定の閾値をタグに書き込まないでください。
「1.5秒未満かつスクロール0なら誤タップ」という判定を、タグ側でやってはいけません。生の数値だけ送って、判定はデータ基盤側でやります。
理由は2つです。
- 閾値は測ってから決めるものです。いくつが正しいかは、まだ誰も知りません
- 焼き込むと、判定を間違えたときに過去が直せません。 生を送っていれば、判定のルールを直すだけで過去も直ります
期間と工数の目安
タグを書いて設置するところまでで、数人日の規模です。 ただし前提が2つあります。
記事LPが外部のツールで作られている場合、タグを置けるかを先に確認してください。 制作会社の管理下にあることが多く、こちらで作業できない場合があります。
そして、そのツールが既に離脱データを持っている可能性があります。 ある事業者では、記事LPの基盤が「1画面目」「2画面目」「オファー到達」の3段階の到達率を既に出していました。タグを作る前に、聞いてみる価値があります。
ただしその3段階では、滞在秒数が含まれていませんでした。 誤タップを分けるには足りません。
分けられるかどうかは、やってみないと分かりません
正直に書きます。滞在秒数を取れば誤タップが分けられる、と断定はできません。
確かめ方は1つです。滞在秒数の分布を出して、二山になるかを見ます。
誤タップの山(1秒未満)と、読んだ人の山が分かれるはずです。分かれなければ、この方法では分離できないということです。
「分けたつもり」で先に進むのが、いちばん危ない状態です。
よくある質問
0.111%は低すぎませんか。何かの間違いではないですか
記事LPを挟む構成では、この水準になることがあります。記事LPは「読ませる」ためのページで、購入ページとは別です。 直接購入ページに送る構成とは、比較できません。
先読みが48%というのは本当ですか
ある事業者のLP基盤が出したパラメータを集計した結果です。 その基盤が何を根拠に「先読み」と判定しているかは、こちらで確認していません。数字の出どころを、ツール提供元に確認することをお勧めします。
1画面目で96.5%が帰るのは、記事が悪いからですか
分かりません。記事の問題である可能性もありますし、広告と記事の内容が合っていない可能性もあります。 誤タップが多い可能性もあります。この3つを分けるところからです。
ヒートマップは無駄ということですか
無駄ではありません。順番の問題です。 除外のルールが決まってから使うと、読める絵になります。決まる前だと、1画面目が真っ赤になるだけです。
記事LPを短くすれば改善しますか
分かりません。1画面目で帰る人には、長さは関係ありません。 2画面目以降まで届いた人にとっては関係するかもしれませんが、それは全体の3.5%です。
滞在秒数だけで足りますか。タップの座標は要りませんか
いまの流入量では、座標を取っても薄すぎることがあります。ある事業者の試算では、20px四方の升目に切ると1日のタップが1升あたり0.1件でした。10日かけて1升1件です。絵になりません。
深さ方向だけに絞れば、同じデータ量で密度が上がります。
この記事で扱わなかったこと
- 媒体の数字と受注のズレ →媒体のCVと受注のズレ
- 差が本物かどうかの判定 →A/Bテストのばらつき
- クリックの質そのもの →クリックの半分が人でない可能性
★ 断定していないこと
私は、御社の記事LPで同じ数字が出ると断定していません。 上の数値は、ある1社の18日間の実測です。
私は、先読みを除いた93.3%を実測していません。 先読みが全部1画面目離脱に含まれると仮定した推計です。クロス集計が取れなかったためです。
私は、48.2%という先読みの判定根拠を確認していません。 LP基盤が出したパラメータを集計しただけです。
私は、滞在秒数で誤タップが分けられると確認していません。 分布が二山になるかを見て、初めて分かります。
私は、44.9%の中身が「誤タップ」と「興味なし」の2つだけだと確認していません。 他の要因がある可能性があります。
相談先
記事LPの離脱が大きいことは分かっているが、どこで消えているかが分からない。そうした段階でご相談ください。
弊社は単品リピート通販・D2C向けに、ECシステム、CRM、運営代行、新規顧客獲得、物流までを扱っています。計測の設計もその一部です。
まず、いまのLP基盤がどこまでのデータを持っているかを確認するところから始めます。
出典・注記
- 本文中の実測値(記事LP到達205,425、購入ページへ229、1画面目離脱96.5%、先読み48.2%、不正3.5%)は、国内の健康食品EC1社における2026年8月1日〜18日の実測です。事業者名・商品名・LP基盤名は伏せています
- 先読みを除いた推計(106,781/93.3%/0.214%)は、先読みが全て1画面目離脱に含まれると仮定した計算です
- 不正クリックの3.5%は、同社が導入している不正検知の仕組みが出した「疑わしい」と「ボット」の合計です